虚血性心疾患とは? 〜心臓の健康を守るために〜
私たちの体を動かすエネルギーの源、「心臓」。この心臓に十分な酸素や栄養が届かなくなると、命に関わる重大な病気を引き起こすことがあります。その代表が「虚血性心疾患」です。
今回は、虚血性心疾患とはどのような病気なのか、原因や症状、予防法についてわかりやすくご紹介します。
■ 虚血性心疾患とは?
虚血性心疾患とは、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液が届かなくなることによって起こる病気の総称です。心臓は冠動脈と呼ばれる血管から酸素や栄養を受け取っていますが、この冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋が酸欠状態(虚血)に陥ります。
主な病型には以下の2つがあります:
- 狭心症(きょうしんしょう):一時的に血流が不足し、胸の痛みや圧迫感を感じる状態
- 心筋梗塞(しんきんこうそく):冠動脈が完全に詰まり、心筋が壊死してしまう状態。命に関わる重篤な疾患です
■ 主な原因とリスク要因
虚血性心疾患の主な原因は、動脈硬化です。動脈硬化とは、血管の内側に脂肪やコレステロールなどがたまり、血管が狭くなったり硬くなったりする状態です。
以下のような生活習慣や体の状態が、動脈硬化を進行させ、虚血性心疾患のリスクを高めます:
- 高血圧
- 高コレステロール血症(脂質異常症)
- 喫煙
- 糖尿病
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
- 遺伝的要因(家族に心臓病の人がいる など)
■ 症状の特徴
虚血性心疾患の典型的な症状は、胸の痛みや圧迫感です。特に運動時や階段の昇降など、体を動かしたときに症状が現れやすいです。
以下のような症状には注意が必要です:
- 胸が締めつけられるような痛み(数分間続く)
- 左肩や腕、あご、背中に痛みが広がる
- 呼吸が苦しい、冷や汗が出る
- 強い倦怠感や吐き気
※心筋梗塞の場合、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。時間との勝負です!
■ 予防のポイント
虚血性心疾患は、生活習慣の見直しと定期的な健康チェックによって、ある程度予防・早期発見が可能です。
- 食事を見直しましょう
野菜・魚を中心に、脂肪分の多い食品を控える
塩分は1日6g未満を目安に
- 運動習慣をつけましょう
1日30分程度のウォーキングや軽い運動を週に数回行う
- 禁煙と節酒
タバコは動脈硬化を進めます。禁煙を強くおすすめします
飲酒は適量を守りましょう(男性で1日2合までが目安)
- 定期健診を受けましょう
血圧、コレステロール、血糖値のチェックが重要です
家族歴がある方は、特に注意しましょう
■ 最後に
虚血性心疾患は、日本人の死因の上位に入る重大な疾患ですが、生活習慣の改善と早期発見によってリスクを減らすことができます。
「少し胸が苦しいな…」「最近動くとすぐ息切れする」と感じたら、早めに医療機関を受診してください。心臓は、あなたの体と命を動かす大切なエンジン。日頃からのケアが、未来の健康を守ります。
健康診断で心臓チェックを!
気になる症状がある方、家族に心疾患のある方は、お気軽にご相談ください。