脳血管障害とは? 〜ある日突然、命を脅かす病気〜
ある日、何の前触れもなく起こる「言葉が出ない」「片側の手足が動かない」「意識がもうろうとする」……これらは、脳血管障害の代表的な症状です。
脳血管障害は、突然命を奪うことも、重い後遺症を残すこともある非常に深刻な病気ですが、生活習慣の見直しと定期的な健診により予防・早期発見が可能です。
今回は、脳血管障害の種類、原因、症状、そして予防法について、わかりやすくご紹介します。
■ 脳血管障害とは?
脳血管障害とは、脳の血管が詰まる・破れることによって、脳の一部がダメージを受ける病気の総称です。「脳卒中(のうそっちゅう)」とも呼ばれ、日本人の死因の上位、また要介護となる主な原因のひとつでもあります。
主に以下の2タイプに分かれます:
- 脳梗塞(のうこうそく):血管が詰まり、脳に酸素が届かなくなる
- 脳出血・くも膜下出血:血管が破れて出血し、脳を圧迫・損傷する
■ 主な原因とリスク要因
脳血管障害は、動脈硬化や高血圧が主な原因です。これらは血管の壁をもろくし、血液の流れを妨げます。
特に以下のような生活習慣や体の状態がリスクを高めます:
- 高血圧(最大の危険因子)
- 高コレステロール血症(脂質異常症)
- 糖尿病
- 喫煙
- 飲酒(過度の摂取)
- 不整脈(特に心房細動)
- ストレスや睡眠不足
- 加齢
- 家族歴(遺伝的要因)
■ 脳血管障害の主な症状
脳血管障害は突然に発症するのが特徴です。以下のような症状が見られたら、一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります。
- 片側の手足や顔が動かない・しびれる
- 言葉が出ない、ろれつが回らない
- 相手の言っていることが理解できない
- 視界の半分が見えない、物が二重に見える
- ふらつき、めまい、歩けない
- 激しい頭痛(特にくも膜下出血のサイン)
※発症から早ければ早いほど治療効果が高まります。ためらわず119番通報を!
■ 脳血管障害の予防ポイント
脳血管障害は、予防が最も大切な対策です。生活習慣を見直し、血管の健康を保つことが第一歩です。
- 血圧の管理が最優先
高血圧は最大のリスク。家庭用血圧計で定期的に測定を
収縮期血圧(上の血圧)135mmHg未満が目安
- 食生活を整える
減塩を意識(1日6g未満が目標)
野菜・果物・魚・海藻を積極的に
油は植物性のものを選び、脂肪分の多い食品は控えめに
- 適度な運動を習慣に
ウォーキングやストレッチなど、1日30分を目安に
継続が大切。無理のない範囲で始めましょう
- 禁煙・節酒
喫煙は血管を傷つけ、血栓を作りやすくします
飲酒は「適量」を守り、できるだけ休肝日を設けましょう
- ストレスと上手に付き合う
睡眠時間の確保と、リラックスできる時間を大切に
■ 定期的な健康診断で早期発見を
脳血管障害の多くは、予兆がないまま突然発症します。だからこそ、定期的な健診によるリスクチェックが非常に重要です。
以下の検査項目は、脳血管障害の予防に役立ちます:
- 血圧測定
- 血液検査(コレステロール・血糖値など)
- 心電図検査(不整脈の有無)
- 頸動脈エコー(血管の詰まり具合を見る)
■ 最後に
脳血管障害は、一度発症すると命に関わるだけでなく、生活の質(QOL)を大きく損なう病気です。しかし、日々の生活習慣と定期的な健康チェックによって、リスクを大幅に減らすことができます。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、リスクは少しずつ高まっています。あなたと、あなたの大切な人の未来を守るためにも、今日からできることを始めてみませんか?
脳血管障害予防の第一歩は健診から
症状がなくても定期的にリスクチェックを心がけてください。