糖尿病とは? 〜サイレントキラーから身を守るために〜
現代人にとって、もはや他人事ではない「糖尿病(とうにょうびょう)」。初期には自覚症状がほとんどなく、気づいたときには合併症が進行していることもある、いわゆる「サイレントキラー」です。
今回は、糖尿病の基礎知識、原因や症状、そして日常生活でできる予防法についてご紹介します。
■ 糖尿病とは?
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。血糖をコントロールするホルモン「インスリン」の働きが不十分になることで、血糖値が高い状態が続きます。
糖尿病には主に次の2種類があります:
- 1型糖尿病:自己免疫の異常などにより、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプ(若年層に多い)
- 2型糖尿病:インスリンの分泌が足りなかったり、効きにくくなったりするタイプ(生活習慣と関連が深く、全体の9割以上)
■ なぜ糖尿病になるの?
糖尿病の主な原因は、生活習慣と体質(遺伝)です。特に2型糖尿病は、以下のような習慣がリスクを高めます:
- 運動不足
- 高カロリー・高脂肪の食事
- 過食・早食い
- 肥満(特に内臓脂肪型肥満)
- 睡眠不足やストレス
- 遺伝(親や兄弟に糖尿病の人がいる場合)
■ 初期症状は気づきにくい
糖尿病の初期は無症状のことが多く、健康診断で偶然見つかるケースも少なくありません。ただし、血糖値が高い状態が続くと、以下のような症状が出てくることがあります。
- のどが渇く、たくさん水を飲む
- トイレが近くなる(特に夜間)
- 体重が急に減る
- 疲れやすい、だるい
- 視力が落ちる、目がかすむ
- 傷が治りにくい
さらに放置すると、「糖尿病合併症」と呼ばれる重篤な症状を引き起こします。
■ 糖尿病の合併症とは?
糖尿病が長期間続くと、血管や神経がダメージを受け、さまざまな合併症が起こります。中でも代表的な3つは「糖尿病三大合併症」と呼ばれています。
- 糖尿病網膜症:失明の原因にもなる
- 糖尿病腎症:人工透析が必要になることも
- 糖尿病神経障害:手足のしびれや痛み、感覚麻痺など
また、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患のリスクも高まります。
■ 糖尿病の予防・改善ポイント
糖尿病は、生活習慣の見直しによって予防・改善が可能です。以下のような対策を、日常に取り入れていきましょう。
- 食生活の改善
主食・主菜・副菜をバランスよく
食物繊維(野菜・海藻・豆類)をしっかりと
甘いものや脂っこいものは控えめに
よく噛んで、ゆっくり食べる
- 運動を習慣に
1日30分程度のウォーキングや体操がおすすめ
階段の利用やこまめな掃除など、日常動作も有効
- 適正体重をキープ
BMI(体格指数)25未満を目安に
内臓脂肪をためない工夫を(腹囲のチェックも大切)
- 禁煙・節酒
喫煙はインスリンの働きを妨げます
アルコールの摂りすぎは血糖コントロールに悪影響
■ 健診で早期発見を
糖尿病は「沈黙の病気」とも言われ、気づかないうちに進行してしまいます。そのため、定期的な健康診断が非常に重要です。
検診では以下の項目が糖尿病の早期発見に役立ちます:
- 空腹時血糖値
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
- 尿糖検査
数値に異常があれば、早めに専門医の診断を受けましょう。
■ 最後に
糖尿病は、発症してもすぐに命に関わるわけではありませんが、放置すれば合併症によって生活の質が大きく低下する病気です。しかし、生活習慣の改善によって、発症や進行を防ぐことができます。
「最近太ってきたかも」「健康診断の血糖値が高めだった」――そんな方は、今日から一歩踏み出してみませんか?
あなたの健康を守る第一歩を!
糖尿病の予防・早期発見のために、定期的に血糖値やHbA1cの検査を行ってください。